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始導-Shido-第三話「そして、始まる新しい物語…」4
あれからどれだけ経っただろう?
アリスの存在は未だに近くに感じていた。
また屈託の無い笑顔を振りまきながら『パパ』と言って、自分達の懐に飛び込んできてくれる様な気がしていた。
アリスと古代龍が光の中に消えてしまった後、ディクセンは実家に戻っていた。
それは聞かなくてはならないことだった。
そう、粛清装置とアールノーツ家の因縁について。
それは遥か昔の話だった。
神々の時代、粛清装置とその起動スイッチとして生み出され、受け継がれて来た一族の話。
薄れ行く血脈と記憶とは逆に強まっていく危険な力。
希望と絶望の天秤の上で翻弄される世界の運命。
ディクセンはその全てを心に刻んだ。
それは果てしのない悲しい物語だと…
そして、もう起こしてはいけないんだと…
レイフォルトはと言うと、話は兄貴の任すと剣を元に場所に戻しに行っていた。
全てはここで始まってそしてここで終わるんだと…。
その日、2人は別々の場所で空を見上げていた。
まだ実感がなかった。
何が現実で何が夢だったのか、あるいは全てが白昼夢の中で起きた事なのか…
小さな少女が自分達の娘であった事、
それが世界を壊す『粛清装置』だった事、
彼女が望んだのは世界の終わりではなく存続であった事…
その全てが曖昧な現実となり霧散していくようであった。
ただ、2人の胸に残るのは小さな少女の最後の言葉とその想い。
『大好きだよ、パパ。パパが生きてる世界をアリスは護りたい。ごめんね』
そして全てが終わり2人はまた旅に出るのだった。
運命の誰かに出会う為に…。
それはまた、別のお話である。
end
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