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始導-Shido-第三話「オルタシアと粛清装置」2

そんな会話を傍らに聞きながらディクセンは二人を見つめた。
あのスーカーの一撃を片手でしかも眉一つ動かさないで受け止めるなんて只者じゃない。
あいつはバカだが攻撃力は桁外れだ。
それを…。

「本当に貴方達は何者なんだ?」

それにきょとんと2人はした後、笑う。
何が可笑しいのか分からなかった。
いや、俺達もまだ未熟者だ。
上には上がいる。
スーカーの攻撃が通らない奴がいても可笑しくない。

「私は白皇(はくおう)です。彼女の行く末を見届けるものです」

仮面の男はそう名乗るとニコッと笑う。
やっとまともな会話が出来そうだとほっと胸を下ろす。

「知ってる限りで良いんだ。アリスマリンのことを教えてくれ。あいつは俺達を「パパ」と呼ぶ以外教えてはくれない」

下を向き真剣に悩むディセンにヴェルグは頭をポンと叩く。

「古き伝説にを知ってるか?」

ヴェルグが突然真面目な声で話し始める。

「い、いや…。歴史は学校で習ったくらいであんまり分からない」

頭を撫でられたことに吃驚して間抜けな声をで話す。

「風の時代のこと。邪神が色んなとこで蔓延っていた頃のことだ」

ヴェルグはまるでその頃居たような口ぶりで話始める。

「オルタシアが邪神を作り出し、そのせいで最初の粛清が行われた。この時アリスは産まれた」

「ちょっと待て!待ってくれ」

ディクセンの声に2人は見る。

「それじゃアリスはオルタシアの子孫なのか?待ってくれオルタシアの子孫が残ってることなんてあるのか?いや、それにしたってアリスは幼すぎる…。!」

それに2人は顔を合わせる。

「まぁまぁ、最後まで聞きてください。話は此れだけではないのですから…」

そう白皇が言うとヴェルグが話の続きをし始めた。

「古き言い伝えでこういうのがあるんだ。『古より産まれし者、来る日に目覚め粛清を行い世界を白へとするであろう』ってな」

「粛清…まさかアリスは…」

ディクセンが言いかけて止める。
これ以上言葉は要らなかった。
そう、アリスがエルダの子孫でそして『粛清装置』だと確信したからだ。

ディクセンは言葉が出なかった。
でも、もしそうなら何故今粛清は行われないのか?
ソレだけが疑問だった。

「粛清は近いうちに行われると思ってます。ですが…」

白皇が言いかけて止める。
そしてディクセンを見る。

「この世界は貴方から見てどうですか?粛清するに値しますか?」

突然の疑問に考える。
『粛清するに値する』かどうかなんて分からない。
でも、自分が生きるこの世界をいらないなんて思ったことはない。
確かに不条理なことも多い。
だが、それが世界で人間なんだと思う。

「俺はこの世界が壊れて良いなんて思わない。確かに不条理なこともある。でも、それが生きるってことで世界なんだと思うんだ」

2人はそれを聞いて顔を合わせることなく笑う。

「お前は甘いな。甘すぎて砂を吐きそうよだ」

ヴェルグはそう言うとお替りのコーヒーを入れる。

「それが神の考えならどうか行動で示して下さい。願わくば粛清が行われないことを…」

そういうと席を立ち店を出てどこかへと消えていった。
残されたヴェルグにディクセンは帰るようにと言われる。
ただ一言残されて…。

「お前はお前自身も知らないとならない。一度自分がなんなのか調べると良いだろう」

そう言われた。

戻るとレイフォルトはベットの脇で腕を組んでアリスを見ていた。

「よう。どうだった?」

レイフォルトはディクセンに気がつき声をかけた。
ディクセンは店で話したことの全てを話した。
スーカーが出てきたのには吃驚していたようだが、それ以外は神妙な表情だった。

「アリスが粛清装置、ね…。大層なものの父親になったものだ」

確かにそうだな、と思った。
でもそれ以上に自分たちに秘密が隠されてることがあるのだと伝えられた。
一度父と連絡を取ってみようと思ったことも伝えた。

しかし、そんなことしてる暇はあるのだろうか?
粛清が行われてからでは遅い。
アリスも何時目覚めるかも分からない。

それでも俺たちは今出来る事をするしかないんだ。
そう二人で誓い眠りに付くのであった。

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