
偶然と必然の間にある運命に導かれて二人は…
第二話「君が待つアパートで…」
それは剣護が大学から帰宅した時の事だった。
アパートの前で綺麗な金髪の少女が立っていた。
まだ雪は降っているというのに……。
少女は目を瞑りただジッとその部屋の主を待っていた。
「サフィーちゃん…?」
剣護は忘れもしない少女の名前を呼ぶ。
その声に少女、サフィーは静かに目を開け剣護をジッと見る。
「遅いデス。レディを何時間待たせるつもりデスか?」
剣護は慌てて階段を上りサフィーに駆け寄る。
サフィーのその手にはあの日置いていった傘が握られていた。
「使ってくれたんだね…」
剣護はそんな事に喜んだ。
サフィーは少し困った顔をしたがすぐにまた剣護を見て怒る。
「そんな事より早く中に入れるのデス。寒くて堪らないのデス」
「……え?」
剣護は流石にその言葉に固まる。
少女とは言え女の子を部屋に入れるなど考えたこともない。
しかも、部屋を片してもいない。
とても見せられない。
「ちょ、ちょっと待って…。あー…いや、五分。五分だけ待って!」
そう言うと剣護は鍵を取り出し部屋に入って行く。
サフィーは不思議そうに五分経つのを待つ事にした。
「全く。レディをどれだけ待たせるつもりなのか…日本人はやっぱり信用出来ないデス」
サフィーがブツブツと呟きながら待っているとガチャリと扉が開く。
剣護は着替えており、少し息が切れてる。
そんなに慌てて何をしていたのかサフィーは疑問になった。
モテない人生を歩んできた剣護にとっての初めて部屋に入れる女性がサフィーだった。
一通り片しはしたけど外国の人を招き入れるのに失礼はないかと考えたがすぐにどうにか出来るほど器用でもない。
仕方なく物を押入れへと放り込んだ。
「お待たせ。汚いし狭いけどどうぞ」
サフィーが中へと入る。
暖房をつけてくれたのか暖かい風がサフィーの髪を揺らした。